また大岳山っすか?
life labo登山部(つまり、わたしと嫁、ぷぷぷ ^o^ )2019年最初の部活山行。
昨年末にも独りで歩いているこのコースを部活山行に選んだのは大岳山独特の山容に由来します。
わたしたちの活動領域である東京の西側から見える大岳山は、馬頭刈尾根方面から伸びるサメの背びれのようなとんがった尾根と、御嶽山方向に向かって落ち込むコブはどこから見ても「あれ、大岳じゃん」と特定しやすい。
苦しい思い?をして自分の足で上がった山はひときわ美しく見えるし、同定できれば山域で方向を見失いそうになった時にアイポイントにもなります。
そんな大岳を記憶にたたき込んでいただくために鋸尾根からのルートを選択しました。
部活山行は山行計画から
部活山行、単独山行問わず、山行計画をたて、律儀に登山届けを提出するのがlife labo流。
ってか、お山の先生たちに叩き込まれました。
仕事柄「PDCA」がライフワークにもなっているので、
1、地形図、天気図から計画を立てる
2、進行確認しながら、現地を満喫する(現地ではOODAですね)
3、終わったら振り返り
4、次に活かす
を実践することで「山行が一粒で三度おいしく」なります。
「綺麗だったし、ご飯美味しかったー」ってより「レイヤリング,ニュートリジョンも含め今回もうまくいったぞ!」ってことに喜びを見出すタイプですね。
はい、オタクです。
ということで地形や天気図から今回の天気を予測してみます。
大岳のある奥多摩は関東山地の東部。
北部を秩父山系、さらには上州の山々にガードされ日本海(北側)からの湿った空気は谷川岳や上州の山々で雲となり関東平野にからっ風をもたらします。
南側、太平洋からの湿った空気はまず丹沢南陵で雲となり南風をガードしてくれます。
東からの湿った空気は奥多摩、大岳に雲や雨をもたらします。
当日9時の気圧配置予測は西高東低の冬型。
風は北から乾いた風が吹き込み、一般的には「晴れる」見込み。
ただーし、活動エリアには寒冷前線が伸びる「気圧の谷があるんじゃね?」とお天気素人は思ってしまいます。
どうやらこの谷は午前から午後にかけてさらに張り出してくるようです。となると、奥秩父あたりの2000m級の峰々には雲がかかってくるかなー。
富士山展望台の大岳山頂からもお昼前後は富士山望めないかなー。
上空500hpの寒気はマイナス22度前後。この時期にしては強い冷え込みではない。
と想像してみます。
今回のルートは大まかに3つのセクションで構成されています。
1、標高差800mを詰める鋸尾根
→午前中、朝の木漏れ日を左半身に受けつつ高度をあげるルートは徐々に上がる体温と、日向のポカポカ、日陰の冷え込みの寒暖差。
2、平坦ではありつつ、地味なアップダウンを繰り返す鋸山から大岳までの稜線
→上空に上がった太陽は樹林帯に遮られ、北風が谷風となって寒さを運んでくる
3、コブの部分をトラバースしながら北東に向け400m高度を下げる大岳から御岳山
→北からの風が遮られ、高度降下に伴い体感温度は上昇
16km前後となるこのルートはこれといったエスケープルートもないので12時までに鋸山到着しない場合はピストンでエスケープとします。
鋸山以降で体調不良発生の場合は引き返すより、前進。人の多い大岳、御岳に進むことがリスクヘッジと考えます。
前回、独りで歩いた時は写真撮りつつ、休憩時間も含んで約6時間。今回は嫁も久しぶりのプチ縦走という条件も含め、25%増し。
7時間半くらいと仮定します。
という理由から、この装備
アクバ峠からロックガーデンに下る北向きのトラバースは凍結や霜でドロドロになっている可能性もあるので通常装備にチェーンスパイクを加えました。
ツェルトにグランドシート。ヘッデンにエマージェンシーシートも忘れずに。
あんど、このレイヤリング。
今回、基本的には「引き算調整」で考えました。
ドライメッシュは半袖。ヒートアップを考慮しました。
ベースはメリノウール。登りっぱなし2時間に対して稜線歩きや下りが半分以上をしめるので多少の保水は必要かと。
中間着として今回入手したTERREXのウィンドシェル。
フードを含むグリッド構造の化繊素材と身頃に撥水透湿性と耐風性のあるパーテックス・イクリプリウムのハイブリッド。
首回りの防風、防寒を図りながら、しっかり抜けもいい。と、大変秀逸なライトシェル。
元々、定価1万円とこの使い勝手としてコスパ高いんですが、某大手量販店のアウトレット&ポイントで2,000円程度で入手。
足繁く道具屋さんまわりしてると、時々こういうボーナスありますよね。今回の上りパートでのオーバーヒート対策にとても効果的でした。
アウターシェルは、毎回登場するfine track エバーブレス「ニュウモラップ」。
とっくにカタログアウトしてるアイテムですが手放せません。このシェルの胸ポケにスマホでも入れとこうモノならびしょ濡れになります。
そんだけ抜けます。
フリースの下に合わせることで「抜けるけど風はシャットアウト」という役割になるかな。
そしてTeton Bros.ビッグフットジャケット。
え?今どきハイロフトですか?って感じではあります。(なんたって2015FWコレクション)ハイロフト(毛並みの長い)フリースとパワーストレッチ素材の組み合わせはあっためた空気をしっかりと体にまとわせてくれます。
行動着ではなく、移動時、休憩時、歩き始めのお供に。
NORRONA flex1素材のソフトシェルパンツは伸縮性に加えて防風性が高く寒い日でも下半身をしっかりガードしてくれます。
サイドベンチレーションも広く取っているのでオーバーパンツ着用時の蒸れ対策もバッチリ。アンダータイツは着用しない。寒ければレインパンツを重ねます。
雨が降ったり、強風、荒天になればフリースを抜いてアウターシェル重ねます。フリース抜く分、GROE-TEX 3層のしっかりしたレインパーカーで防寒性も考慮します。
NORRONA dri1素材のレインパンツは無孔質ポリカーボネイトメンブレンの2.5層。防水耐水圧20,000mm 透湿性20,000g/m2/24で下半身をドライに保ってくれます。腰骨までのサイドベントは同一メーカーのパンツとの相性も良く使い勝手いいです。
ダブルジップ(上下どちらにも開く)のゲイターは使い勝手がよく、いまさらシングルには戻せません。
ダブルの分、重くなるわけですが、快適さとのトレードオフとして充分おつりがきます。
ウェア類、プロパーで購入したのはグローブやゲイター、メッシュなどの小物だけ。
あとは足しげく山道具やさんを巡り、用途を精査したうえで賢くセールでゲット。値段だけで手を出すとガラクタの山になりますから、やりたいこと、用途、値段、満足度のグッドバランスで揃えています。
行動食
今回のルート、約7時間と想定した時の消費カロリーは 77kg × 7時間 × 5=2695kcal
朝食:冷凍パスタ 500kcal / トレイルミックス(mixnuts+グラノーラ) 550kcal / 嫁メイド ロールパンサンド 2個 450kcal
そのほかにブラックサンダー、練ようかん、カップスープで500kcal
トータル2,000kcalを携帯して、身体の様子を感じ取りながら補給します。
(過剰摂取は糖尿悪化につながるので要注意 (><) )
水分補給は 77kg × 7時間 × 5 × 0.7=1,800ml
アクエリアス 500ml(ハイドレーション)/ 水 1000ml(フラスク)/お湯 500ml(テルモス)
2リットル装備しました。乾燥した冬、特に前半の長い登りは不感蒸泄を考慮してしっかり水分補給。
では、山旅を満喫しましょう
奥多摩へのアプローチは最寄えきを5時25分発の京王線特急で。
分倍河原で南武線に乗り換え立川。
立川から青梅線で奥多摩へ。途中、青梅で切り離しがあるので進行方向前側へ乗車するのがポイント。
この乗り継ぎルートだと待ち時間もミニマムでストレスなし。
特にこの日は「本当に土曜?」というくらいどの電車も空いてました。
07:37 奥多摩駅
30人、降りてないかも、、、、峰谷行きのバスに向かう人もまばら。
相方と地形図広げてルート、行動計画を確認しながらゆっくり準備。
08:00 昭和橋を渡って出発。
この時間帯、ちょうど0度くらいですかね。
風はないですが、、相方の鼻も赤い。
相方のレイヤリングもほぼ同じ考え方。
ウール、ウィンドシェル、フリースの組み合わせ。
手元や頭は厚手のニットで守っています。
先月独りできたときは綺麗に紅葉していた氷川キャンプ場も、つめたーい感じ。
鋸山登山口はキャンプ場のすぐ先にあります。
登山口の概念図。これ、結構秀逸な出来だなーと思うんです。
鋸山ピークまで800m弱の上りの中で、地味に斜度があるのが麓の愛宕神社までの取り付きなんですよね。
公園ってか、園地ってか、非常にピースな雰囲気なんですけど、しょっぱなで体温上がったりします。
かっこつけてるんでしょうか。
初詣に並ぶかのごときゴテゴテで登っています。
地形図的にこのセクションが急登?と見える要因はこれですかね。
ざっと数えると180段くらいのようなので、例えば高尾山頂下の稲荷山の階段や六号路の階段と変わらないんだけど、段差が少し高いのかな。
身体もあったまってないし、相方は文句言ってました。
でも、まぁ、嬉しそうだし。いいか。
つづらに折り返しながら取り付きから150mほど高度を上げると愛宕神社下に出ます。
この時間にスタートすると、神社下のこの広場は木漏れ日が最高に心地よいです。
振り返るとゴンザス尾根や本仁田山、川苔山方面が望めます。
高度を上げること、時間にして30分弱。
身体もあったまってきたのでフリースやオーバーグローブを抜きます。
神社を超えて鋸尾根に取り付きます。
針葉樹林帯は木漏れ日を優しい光に変えてくれます。
天狗がいる726小ピークを目指します。
しばらくは尾根を伝って、送電線をくぐったあたりからトラバースの崖登りに変わります。
崩落地のある痩せ尾根を超えて
726天狗の小ピーク下から足場が露岩に変わってきます
09:20 天狗の小ピークでザックを下ろし小休憩。
テルモスで臓物を温めてから、相方は早速、バターロールをパクリ。
わたしはちゃっこいブラックサンダーとナッツを。
風はほとんどないですが、足を止めるとフリース引っ張り出さないとちと寒い。
この時点で、空は快晴。
ですが、天気図から想像すれば大岳ピークを踏むであろうお昼頃には富士山にはしっかり雲かかってるだろーな。
ま、そんなこと気にしないで829小ピークを目指します。
この後、このルートには露岩帯がちょくちょく出てくるのですが、地形図上の岩崖表現はほぼありません。
唯一出てくるのがこのあたり。
鉄梯子をあがって
根っこと露岩のミックス
左腕の保持力ゼロでも、下で取ったり、横で取ったり、なんとかなります。
ちなみに手術から5ヶ月経過して、まだこのありさまです。
あがると眺望が開けます。
この秋、相方は少々お山から離れていたので829ピークあたりで少々スピードダウン。
テルモスやナッツをこまめに補給しながら進みます。
鋸ピークまで標高差のこり300。1時間ペースで上がりましょう。
広葉樹林帯の中は日差しでポカポカ。
相方のペースも戻ります。
11:10 鋸山。
取り付きから標高差約800mを3時間。
数字にすると、20分早く到着したいとこですけど、休憩も取ったし。よく頑張りました。
大休憩20分。
11:30 大岳に向けて出発。
鋸山直下は足も悪く少しわくわくするくだり。
だいたいこのあたりで大岳方面からくる第一陣とすれ違います。
御前山への分岐を大岳に向かいます。
大岳までは地味なアップダウンを繰り返す稜線歩き。樹林帯だけど。
隙間から見える富士山は予想通り、、、、
馬頭刈尾根方面への分岐までくると、大岳まであとワンピッチ。
ここから露岩帯を100m上がります。
13:15 大岳山 1,266m
富士山、ビミョー。
特にそんなに見たいわけでもないが、見れればね、みたい。
お正月の大岳ピークは結構インターナショナルな感じでした。
外国人が何組か。そしてここにも、半袖外人。
少々粘ってみたが雲が切れそうにもないので、、、
13:30 御岳山に向け行動を下げることにします。
いつもはお弁当の花が咲いてる大岳神社も人はまばら。
朝の鋸尾根に人が少ないのはわかる。でも大岳越えれば鎖場渋滞?とか思ったけど。
今日は本当に人が少ない。
大岳から御岳に下る途中の露岩帯、鎖場は左が山側のトラバース。
左手が使えないわたしは当然、谷側の右手で確保しながら進みます。相方には「真似しないでねー」と伝えながら。
アクバ峠からロックガーデン手前まで降りて御岳に抜けます。
アクバからの下りが凍結してるかもと思ってチェーン持ってきました。
霜柱はかなり目立ちましたが、チェーンつけるほどではなかった。
御岳山にお参りして
15:30 行動終了
行動時間 7:30
移動距離 18km
お山ひさびさの相方には少々ロングだったかな。
今年もよろしくお願いします。