こんにちは。
LifeLabo登山部。登山ガイドの小山和彦です。
22年のグリーンシーズンは残雪、梅雨、盛夏、様々な時期の尾瀬をおとづれました。
10月の下旬ともなると首都圏からの直通バスや、営業小屋も終わりを迎え、そのあとは長く雪に閉ざされます。
予想を超える晴天の中、今期最後となる尾瀬をゲストの皆様に楽しんでいただきました。
【鳩待峠から山の鼻へ】
鳩待峠では山の鼻までのルートで見られる紅葉に関してブリーフィング。これから見て、感じていただくことへの基礎知識をお伝えします。
紅葉の仕組みとか、結構忘れてしまっている方もいらっしゃいます。
鳩待峠は、その昔片品村の男たちが、厳冬期に入山し、木地師として木工品を作っていたころの仕事場だったそう。鳩は寒中はふもとの村にいて、暖かくなると山奥へ移る習性がある。峠の近くで鳩が鳴けば、男たちは久々に里へ下り、田植えを始める。雪深い山中で、鳩が来る春の日を待ち続けたことから、鳩待峠と呼ばれたらしいです。
山の鼻にかけてはブナ、ミズナラの褐葉、シラカバ、ダケカンバの黄葉、ミネカエデ、ナナカマドの紅葉を見ることができました。
そのほか、代表的な植生としてネズコ、カラマツ、シラビソなど見ることができました。
【尾瀬ヶ原】
一面に広がる草紅葉。
ヌマガヤ、リュウキンカ、ススキ、カヤツリグサ、レンゲツツジ、ヤマドリゼンマイなどが色づいていました。
福島県側には雲が出ていてこの日は燧ヶ岳、会津駒ヶ岳を望むことはできませんでした。
牛首のあたりの色のコントラストも見事でした。
湿原にいきなりこんもり現れる丘陵がなぜ「牛首」と呼ばれるのか。その答えは明日、至仏山に登るとわかります。
そして朝焼けの燧ヶ岳はいつ見ても美しい。
【至仏山荘】
山の鼻。名前の由来は、東に聳える至仏山から派生した尾根がこの地点の東に延びてきていて、そのことから山ノ鼻と名づけられた。らしい。
至仏山荘。今年は何度もお世話になりました。
お部屋にはもう石油ストーブ。小さいながらも心地よいお風呂。たっぷりの夕食。
なによりコメがうまい!
ありがとうございます。
【至仏山】
至仏山の由来は、仏教には関係なく、ムジナッ沢(むじなっつぁわ)の別名「渋ッ沢(しぶっつぁわ)」に由来するという。
しぶっつぁわのやま、でしぶつさん。ほんとか?
この時期、自然園から見上げると、草紅葉、シラカンバ・ダケカンバの黄葉、ヒノキ、クロベ、シラビソの樹林帯にカラマツの金色、そして森林限界の灌木帯がミルフィーユのように重なっている。
蛇紋岩地質の影響で森林限界は低く、標高1700mあたりから灌木帯と蛇紋岩の稜線に変わります。
森林限界を超えて振り返ると尾瀬ヶ原のナイスビュー。
牛首がなぜ牛首なのかよくわかります。あかべこの頭みたいですね。
燧ヶ岳、会津駒ヶ岳もくっきり。
今回のテーマの一つ。バテない登り方。
標高差100mを20分、300mを1時間で登ります。
午前7時出発。標高1,400の山の鼻から1,700mの森林限界まできっかり1時間。
山頂までの標高差は900m弱ですから10分休憩3回挟んで10時半目標。結果として10:20山頂到着でしたからペース配分も問題なし。
至仏山頂から小至仏山まではがれたアップダウンと蛇紋岩の岩場が続きます。
西側から雲が湧いてきました。
小至仏山の岩場を下るとシラビソ、コメツガの樹林帯が始まり尾根を降ります。
鳩待峠まで90分ほどの樹林帯歩き。
13時鳩待峠に下山完了。
行動時間6時間。距離役9km。累積標高:登り910m 降り780mの山旅でした。
来季は雪解けの至仏山や燧ヶ岳も含めた2泊3日の山旅も計画中です。