【いまさら、、、ですが】
こんにちは。
Life Labo登山部。登山ガイドの小山和彦です。
尾瀬。やまをやっている人の多くが訪れている尾瀬。
ガイドの資格取るまで、、やま道具屋で働く様になるまでは自分の中に「尾瀬」というキーワードが存在していなかった。
これではいかん!といまさらながら尾瀬に通い見識を深めています。
【尾瀬のなりたち】
さくっとおさらい。
尾瀬の成り立ちはおよそ2億年前、地殻変動により海底で至仏山の隆起が始まります。
至仏山の中腹に現れる蛇紋岩がその形成過程を物語っています。
数百万年前に海上に隆起。当時はほぼ平坦な高原地形だったそうです。
やがて高原の西側に至仏山が隆起。
500万年ほど前に景鶴山の噴火が始まり、尾瀬ヶ原北側の稜線を形作ります。
170万年まえ前になると、アヤメ平(中原山)、荷鞍山、皿伏山などが噴火し至仏山から鳩待を挟んで連なる南稜線が形成されます。
30万年ほど前になると噴火と共に燧ヶ岳の隆起が始まり、何度かの噴火をくりかえし、南側に流れ出た溶岩、山体崩壊の瓦礫が沼尻川(只見川)を堰き止め尾瀬沼を形成。
現在の尾瀬の原型が整います。
こうして四方を山に囲まれた盆地は山から泥流が流れ込み、川の氾濫などを繰り返しながら8000年ほど前から泥炭の堆積が始まり高層湿原、現在の尾瀬ヶ原が形成されたそうです。
湿地に踏み込んで1cm陥没させた場合、回復には10年かかるそうです。
【今回のルート】
<1日目>
アプローチ:バスタ新宿06:35 – 関越交通高速バス – 大清水10:30
この日は平日の早朝便で乗車5名。夜行の方が乗車率高めかも。
大清水 – 一ノ瀬 – 三平峠 – 尾瀬沼東岸 – 尾瀬沼ビジターセンター – 大江湿原 – 尾瀬沼ヒュッテ(泊)
行動時間4:53 距離:11.5km 登り:681m 下り:200m
前線は少し南下しているが、高気圧の端に位置しているので南寄りの風。
降りそうで降らない不安定な霧模様。
気温10度前後で肌寒くもありレインウェア上下着込んで行動。
<2日目>
尾瀬沼北岸 – 沼尻 – 見晴 – 龍宮- 山の鼻- 鳩待峠
鳩待峠からシャトルバスで尾瀬戸倉。
尾瀬戸倉14:20 – 関越交通高速バス – バスタ新宿
行動時間6:19 距離:17.5km 登り:338m 下り:415m
気圧配置は前日より前線が北上。夜半より本降りの雨。風も強い。
午前7時ごろ小降りとなり風も落ち着く。
終日降ったり止んだり。
【今回みられたお花】
コミヤマカタバミ、キバナノコマノツメ、ミツガシワ、リュウキンカ、ヤチヤナギ、チョウノスケソウ、エゾヘビイチゴ、ヒメシャクナゲ、ミツバオウレン、ショウジョウバカマ、ワタスゲ、フデリンドウ、ナガハシスミレ、里桜、ニリンソウ、クリンソウ
【会津沼田街道】
大清水(1190m)から尾瀬沼(1700m)までは 荷鞍山、皿伏山などの尾瀬ヶ原南陵から伸びる尾根と、オモジロ山、檜高山など尾瀬沼東岸の火山から伸びる尾根に囲まれた谷地形、沢筋をあがっていきます。
大清水から一ノ瀬まではシャトルバスの通る林道が整備さえれていますが、歩きにはちと退屈。
林道の東側には平安時代に会津と群馬の交易のために真田家が整備した峠道が会津沼田街道。現代でも登山道として残っています。
当時から残ってる?トチやブナ、ミズナラの巨木を楽しみながら片品川の沢音と鳥のさえずりを楽しみながら緩やかに高度を上げていくことができます。
【ドラマチックな植生】
大清水から尾瀬沼にかけては標高、地形によって異なる植生が五感を刺激してくれました。
旧会津街道ではシラカバ、トチノキ、ミズナラ、カツラなどの広葉樹の濃い新緑に包まれます。霧と相まってなんとも心地よい。
1300mあたりからダケカンバが現れ始めました。中部山岳と比べ緯度も高いですからダケカンバの出現も早い。
1500mを超え、岩清水あたりの谷地にはブナの森に変わります。日当たりの悪い谷地でも陽樹の森。生命力を感じます。
1700mを超えオモジロ山から西に伸びる尾根を乗っこす三平峠付近となると様相は一変、シラビソ、コメツガ、ヒノキ、トウヒの針葉樹の暗い森に。
地形的に溶岩台地のようですからパイオニア種が生き残ったでしょうか。
尾瀬沼に向かって降っていくとダケカンバとシラビソ、コメツガの混成林に。
ドラマチックでダイナミックな植生変化を思い返しながら小屋に向け木道を進んでいると、知人でありガイドの先輩でもある渡辺佐智さんとばったり遭遇。
これまたドラマチックな再開をしばし楽しみました。
【尾瀬沼ヒュッテ】
福島県南会津郡檜枝岐村側に位置する公営の宿泊施設。
広いウッドデッキから尾瀬沼、燧ヶ岳を望めるロケーション。
周辺には長蔵小屋、ビジターセンターが集まり東岸の賑わいエリア。
1泊2食8,500円からとなかなかにリーズナブル。
入浴もでき、ぬるめのお湯に長々と浸かりたい。
夕食の舞茸ご飯は、翌日おにぎりにして欲しいほど美味しかった。
お弁当はおにぎりと超ひさびさにいただく魚肉ソーセージ。
2日目の尾瀬沼北岸から見晴への道程も燧ヶ岳からの溶岩台地、湿地など地質の変化と共に植生変化が楽しめました。
特に燧ヶ岳南側の尾根が伸びるエリアの暗いヒノキの森では見事なネズコ(クロベ)を見ることができました。
【見晴らしでご一服】
雰囲気のいい山小屋が集まる見晴(みはらし)地区。小振りながらテント場も。
燧ヶ岳と至仏山の中継地点として賑わいます。
とわいえ、雨の平日。今日は閑散としています。
尾瀬沼から3時間、見晴で一服することに。
雨ですが、レインウェアも着ていることですし、尾瀬小屋さんのテラスでドリップコーヒーとアイスクリームでまったり。
肌寒さも心地よく、雨の尾瀬を満喫。
尾瀬ヶ原からは西、東どちらをみても至仏山、燧ヶ岳は雲の中。
2日間で一度もピークを望むことはできませんでした。
群馬県の尾瀬学校や遠足の小学生たちも雨で残念そうでしたが、そういった学校行事とかも徐々に戻ってきて尾瀬や山にまた活気が戻ってくる。
そんな気がしました。