こんにちは。

LifeLabo登山部。登山ガイドの小山和彦です。

【プロローグ】

冬季のスノーシュー、雪山登山企画の下見で上信越高原国立公園、黒斑山、高峰山に行ってきました。

高峰山の頂。高峰神社。

このエリアは日本海側気候、太平洋沿岸気候にも属さない中央高原式気候帯。

すなわち北西側に北アルプス、南西に中央アルプス、南に南アルプス、八ヶ岳などの峰々が湿った空気をブロックしてくれるので降水量が少なく、晴天率が高い。

東側はガラ空きなので東寄りの風は天気が崩れやすい。

冬遊びにはもってこいですが、夏でも冷涼。

10月初旬の黒斑山、どんなレイヤリングがいいか、考えてみましょう。

レイヤリングを考えるにあたり、

新幹線降車駅の佐久平が標高700、登山口のある車坂峠が標高1973、黒斑山山頂が2404m

がキーワードとなります。

ん?どっかに似てる!

そう、松本600→上高地1500→本谷橋1800→涸沢2300の標高帯とドンピシャです。

【紅葉時期の涸沢】

じつはわたくし、ガイドのない日は都内のやま道具屋さんに勤務しています。

売り場でお客様から「10月に紅葉を見に初めて涸沢に行きます、何着ていいたらいいですか?」と聞かれた時、自分はこんなふうにご案内することが多いです。

「早朝の上高地で東京の11月下旬ごろ、夜の涸沢ではお正月ごろと思って準備しましょう。」

ここで気温減率に関して再度整理します。

一般的な気温減率は0.6

標高差100メートル上がると0.6度気温が低下します。加えて風速1mの風で体感温度は1度低下します。

上高地で標高1,500、すなわち無風の状態で東京と比較して9度低い。

涸沢は標高2,300m、東京と比較して約14度低いことになります。

東京の10月上旬の平均気温が最高21度、最低18度とすると

上高地 12/9度 涸沢7/4

という仮説に至ります。

深夜より明け方が冷え込みますからモルゲンロート見てる時は4度、風が5m吹いていれば体感マイナス1度となります。

なので冒頭の「上高地で東京の11月下旬ごろ、涸沢ではお正月ごろと思って準備しましょう。」という例えに至ります。

レイヤードのキーワードとして「寒くなるのは気温、濡れ、風が原因」をであることを併せてご理解いただきます。

水分(汗)は、空気に比べ熱伝導率が25倍。風が吹けば熱は温度が高い方から低い方へと移動します。 汗で濡れることによって体温は奪われます。 さらに、濡れた衣服は乾く時に、気化熱として体温を奪っていくため、これも体温低下につながります。

レイヤードの対策としては

上高地→本谷橋間ではオーバーヒート、発汗を抑える。

本谷橋→涸沢では風を防ぐ。特に首筋、手首、指先を冷えから守る。太い血管を隠して血流を冷やさない工夫。

を主眼に対策します。

車坂峠。標高1960m。

【当日の黒斑山の天気を考える】

オホーツクから伸びる高気圧の影響下に入る。南西寄りの風、風速は3m以下。高層天気図を見ると上空3000面6℃。寒気の流入はない。

午後にかけて大陸の高気圧が前線を押し下げ、4日は崩れる。

南ア、八ヶ岳は湿った空気の影響で曇天。現地も崩れる予兆の高積雲が出ると予測。多分、都内で22℃平均って感じかな?と仮説。

地形的注意点は標高2300迄はシラビソ、ダケカンバの樹林帯。そこから上は東面の切れ落ちた稜線。風に煽られます。稜線手前で一枚差し込む必要があります。

上記天気図から各標高点の気温を佐久平15度 車坂峠12度 黒斑山頂8度と予測しレイヤリングに落とし込みます。

 

【レイヤリングに落とし込む】

<アンダーウェア>ジオライン L.W.  Tシャツ

軽量で速乾性に優れているので、寒い季節の激しく汗をかく運動や、夏場のウォータースポーツなど、オールシーズン活躍する汎用性の高い半袖モデルです。また、薄手で、伸縮性にも優れ、重ね着がしやすくなっています

 

 

<ベースレイヤ>ウィックロン ボーダーロングスリーブジップシャツ

吸水速乾性・通気性・消臭機能を備えたウイックロン®の性能はそのままに、リブ編みにすることで高い伸縮性を持たせたボーダーシリーズです。落ち着いたカラーリングで普段使いにもおすすめです。

 

 

<アウターレイヤ(ソフトシェル)>クラッグジャケット

高い防風性とはっ水性を備え、ストレッチ性に優れたジャケットです。薄手ながら適度な保温性を備え、衣服内に熱気がこもりにくく、運動量が多いアクティビティでも快適な着心地です。重ね着しやすいすっきりとしたシルエットを採用しています。

 

 

<パンツ>ガイドパンツライト

尻と膝部分に縦横2方向へのストレッチ性を備えた、大変動きやすい薄手のパンツです。すっきりとした細めのシルエットで足上げもスムーズです。軽やかな履き心地で、春から秋の登山におすすめです。

 

 

上記のベースアイテムに加え

末端の防風、防寒対策:トレッキンググローブ、ネックゲイター

天候悪化対策:レインウェア上下、ライトダウン

カラマツの黄葉が始まっています。

【結果を検証する】

各標高帯での実際の気温、ウェアリング、体感値は以下のような感じでした。

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