トラベルトレイルのきっかけは唐突に訪れる。

2019年3月。暖冬で早くも雪のなくなりかけた上高地。

吊り尾根を眺めながらのんびり歩いているとガイドのSachiさんが

「檜枝岐歌舞伎って知ってる?」と話しかけてくる。

吊り尾根を眺めていたら

聞くと、山間の村で地場の美味しいものをいただきながら野外劇場で民俗芸能を堪能。

翌日は残雪の会津駒ヶ岳で芽吹いたばかりの新緑に癒される。

そんな話聞いたら、「じゃ、企画しよ。」となるのが当然の流れ。

【そもそも南会津】

福島県って意外とデカいんですよね。

太平洋沿岸から北は宮城、山形。西側は新潟。

檜枝岐村の位置する南会津地方は栃木、群馬、新潟と境を隔てます。

太平洋と日本海の中心あたり。日本海側気候の影響が強い。

太平洋と日本海の中間に位置していますが日本海側気候の影響が強く、冬型の気圧配置で新潟あたりが降っていると同様に南会津も降雪があるようです。

中学、高校と「地理」の時間を寝て過ごしていると「会津」という言葉からは「磐梯山」とか「宝の山」とかがメロディ付きで再生される程度の知識。

50を過ぎて初めて学ぶこととなります。

【アプローチ】

遠かったー。

なんだけど、普段は秩父、丹沢、中部山岳地域を主戦場としている僕にはなんもかんもが新鮮でした。

アプローチの起点となった「会津高原尾瀬口駅」へは新宿から東武日光線、東武鬼怒川線、野岩鉄道会津鬼怒川線と乗り継ぎます。

「AIZUマウントエクスプレス」とか、、名前聞いただけでワクワクしてきました。

日光1号

新宿駅 07:30 ⇒ 下今市 09:18

「特急 日光1号」

東武鉄道がJR東日本に乗り入れる形で山手線、宇都宮線、東武日光線を経て日光駅方面につないでいます。

座席指定制の特急列車で1日1往復。

東武鬼怒川線 下今市駅

下今市 09:26 ⇒ 鬼怒川温泉 09:49

「東武鬼怒川線 各駅停車」

ボックス4人掛けシート。2両編成の普通列車。

鬼怒川温泉 10:01 ⇒ 10:46 会津高原尾瀬口

「AIZU マウントエクスプレス」

二人掛けシートの観光列車ですが予約は不要。2両編成で洗面所あり。

鬼怒川温泉から会津若松、休日は喜多方まで延長運転されます。

途中川治、湯西川などの温泉どころと景観もなかなか。

土合駅のようなトンネル駅の湯西川、渓谷美の塔のへつりなど見所はたくさん。

なんですが、この辺りからかなり雨脚が強くなりました。

「歌舞伎大丈夫かなー」と思いつつ会津高原駅に降り立つ。

雨模様の会津高原尾瀬口駅

ここまで新宿から約3時間半。

檜枝岐まではここから路線バスで1時間半。ふぅ。

【初日は脚を伸ばして尾瀬散歩】

御池

お昼に檜枝岐入っても間延びしてしまうので尾瀬国立公園まで脚を伸ばすことに。

檜枝岐で下車せず、そのまま乗っていれば駅から2時間強で国立公園の東端「御池」に到着します。

本来、「尾瀬」と呼ばれるのは東に燧ヶ岳、西に至仏山に囲まれた「尾瀬ヶ原」を中心としたエリアだそう。

僕らが散歩してた国立公園の北東側は「尾瀬グループ」といった感じでしょうか。

小雨まじりの湿原はそれなりに幻想的であり晴天とはまた違った趣。

公園内に多く点在する「田代」という地名は元々「田地」。田んぼの代わりになるような平地、みたいな意味合いらしいっすね。

木道の滑ること滑ること

【檜枝岐村】

いきなり、秘境ですか。

三方を燧ヶ岳、会津駒ヶ岳、帝釈山に囲まれた谷合の集落。

平家の落人伝説があるのもうなずける。

古くは焼畑や山菜採り、狩猟が生計の柱だったらしいですけど、尾瀬の開発とともに民宿などの観光業に転じたようです。

訪れた日は「檜枝岐歌舞伎」に彩られていました。

村の人口は600人に満たなく「日本一人口密度の低い市町村」らしい。

観光業を主軸としたことで若者層の流出は抑制されていますが、近隣に高校がなく、高校生は都市部で下宿生活をしているそう。お世話になった民宿のおじさんが言ってました。

サインは統一されている

集落は景観保護のため屋根や標識の色が統一されていて、こじんまりとしたスキー場、立派な「山旅案内所」や公共温浴施設もあります。

山旅案内所 いいねー

今回お世話になったのは「民宿おぜぐち」さん。

民宿おぜぐち

食卓に並ぶのは地場の山菜、「断ち蕎麦」ならぬ「丸蕎麦」。

お蕎麦の断面が角ではなく丸いんですね。

主菜は岩魚。

地場の山菜、川魚が並びます

そしてSachiさんが宿の主人におねだりしたのが「はっとう」。

そば粉と餅米でできた「おやつ?」。

そば粉と餅米をよく練って、茹でて柔らかくなった生地にエゴマやきな粉をまぶして。

名前の由来は、檜枝岐地方を訪れた役人さんが食べたところ「こんなうまいものは贅沢品。

晴れの日以外に食べてはいけない」と言い渡したらしい。

「御法度」となったところから「はっとう」となったそうです。

【檜枝岐歌舞伎】

境内への入り口

江戸の昔から先祖代々子々受け継がれている民俗芸能。

昔々、江戸で歌舞伎を観劇した村民がその素晴らしさを見様見真似で村に伝えたのが始まりだそう。

鎮守神の祭礼に歌舞伎を奉納する形で上演され、村人もこれを楽しむ。

以来、270年にわたり親から子へ、子から孫へ受け継がれてきたそう。

役者だけでなく、衣装や化粧、裏方も全て村人が行う農村歌舞伎。

みなさん本業のかたわら、とくに農閑期の冬季に稽古するそうです。

舞台は鎮守神の境内に建てられた茅葺き屋根の舞台。

由緒ある舞台

江戸時代に建てられた舞台は明治の大火で消失し、現在の舞台は明治30年に建立され重要有形民俗文化財に指定されています。

観客は桟敷席と境内の石段に腰掛けて観劇します。

1000人以上収容できるそうなので、村の人口の2倍の人が見ることができます。

本来は年に3回、5月、8月、9月に上演するそうですが僕らが見た6月は「新元号祝意歌舞伎公演」と銘打ち特別公演だったようです。

東北に限らずに日本にはこのような民俗芸能一座が多く存在しますが、現在檜枝岐で活動しているのは「千葉之家 花駒座」だけ。

夕ご飯をいただき、19時の開演に向け出かける準備。

屋外での鑑賞。

6月とはいえ標高1,000mほどの山間の集落。防寒対策も抜かりなく。

シェルとオーバーパンツを羽織り、テルモス、グランドシート持参。

こんなガチガチヤマ屋の格好しているのは自分たちだけのような、、浮遊感。

出店を冷やかしながら石垣に陣取る。

だんだんと夜の帳が降りてきてなんともいえない雰囲気。

舞台にあかりが灯ると一気に幻想的な世界が広がります。

幻想的な雰囲気に

本日の演目は「奥州安達ヶ原 文治館の段」

内容は、、、正直よくわかないんだけど舞台は文治さんって人の家で、文治さんが安倍さんて人の子供を匿っていてそこに博徒だの、偉い人が来て、で文治の奥さんは文盲でなんだかドタバタやってる感じ。

文盲の奥さんが身なりのしっかりした爺さんに手紙を読んでくれるようお願いするのだが、実はこの爺さんも字が読めなくて手紙を逆さに読んだりとか小ボケをかますコミカルなシーンだったり、涙の別れの人情シーンだったり、、、

文治さんのうち

たぶん2時間超えるくらいの長丁場でしたけど最後まで引っ張り込まれました。

とても明日山行くような感じがしないまま宿に戻っておやすみなさい。

【残雪の会津駒ヶ岳】

朝4時にアラームがなり外に出てみる。

まだ太陽は上がっていないが雲の状態も悪くなさそう。早朝散歩して身体をほぐす。

朝食は5時。

やさしいあさごはん

ニシンを中心とした身体に優しいあさごはん。

雪の状態にもよるけど長丁場になりそうなので白米もしっかりいただく。

出発は6時。

民宿のご主人に登山口まで送っていただく。

滝口登山口から登山道入口までは舗装された林道。標高差100mほど。

6:35スタート。

新緑のトラバース

取り付きは標高差200mほど尾根筋をトラバース気味に上がります。

日差しもあり新緑が眩しく心地よい。

尾根に上がってさらに200メートル強上がると水場のある肩に出ます。

尾根は融雪の名残かかなりドロドロでした。

標高差500mを約2時間。

この辺りからアイゼンを装着。行程の半分は雪がないと想定していたので足元は夏靴。

アイゼンもセミワンタッチ。

1600あたりから腐った雪

残り500。

2時間でやっつけたいところ。

標高1,000mあたりは新緑が眩しかったが、1,600mあたりで木々の様子も変わってくる。

ガスも出始めた。

木々の感じも変わってくる

コースの中で季節感がグッと変わってくるところも残雪期登山の面白いところ。

急登の尾根を詰めて緩斜面を北東に進路を変えると駒の小屋が見えてきた。

その先の会津駒山頂はガスの中。

小屋をスルーして頂上を目指す。

10:32 会津駒ヶ岳

標高差1,000m ジャスト4時間

前半の雪のない急騰部分より、アイゼン装着後の残雪区間で多少巻き返した感じ。

会津駒

山頂部は全く雪のないハゲピーク。

眺望はゼロ。まいいか。滞在もそこそこに直下の駒の小屋まで雪上ダッシュ!

軒先をお借りして腹ごしらえ。

あのT-SHIRTS買ってしまいました。

駒の小屋

11:05 登山口に向けて下降開始

上部のガスは結構濃くなってきている。ピストンだし踏み跡も残っているけどコンパスセット。

11:50 標高1,600付近の肩まで45分。

時折脚を取られる程度で踏み抜き、埋まることもなかったので軽快に降りてきた。

アイゼンを外し、ピッケル からストックに持ち変える。

ここからドロセクションを500降る。

登山道入口

13:20 登山道入口

90分ほどかけて登山道入り口に降り立つ。

行動時間 6時間40分 移動距離 10km

累積標高 上り 1,184m 下り 1,197m

だがここでは終わらない。

帰りはお車での出迎えはないですから林道をだらだら降り、民宿までアスファルト歩き。

14時過ぎに民宿でデポ回収。「お世話になりました!」

ダッシュで「アルザ尾瀬の湯」でカラスの行水。15時のバスに飛び乗る。

会津高原駅で腹ごしらえして17時。乗り継ぎ悪いし家着くの何時頃だろう?

明日仕事で4時半起き。考えるのやめよう。

帰りの車中の記憶がないのはご容赦ください。

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